京セラ株式会社

宇宙ビジネスを始めたきっかけ

-宇宙ビジネスを始めようと思った理由を教えてください

田中:京セラが宇宙ビジネスを始めようと思った理由は、宇宙というコンテンツの力で社員のモチベーションを高めたいと思ったからです。そこからSPACETIDEをはじめ、さまざまなコミュニティで活動を進める中で、アクセルスペース様と出会い、2020年に共同研究をスタートしました。
その共同研究で得た気づきをきっかけに、現在の注力領域である「衛星データ活用サービス」や「次世代通信を支えるハードウェア事業」の着想を得ることに繋がりました。

現在の活動内容

-注力領域である2つの活動について教えてください

田中:次世代通信を支えるハードウェア事業は、まだ基礎研究の段階ではあるのですが通信衛星企業との連携や人工衛星に使われる機器の開発など、複数のプロジェクトが進行しています。本来はこの場で詳細を発表したかったのですが、現在水面下で調整をしているので、次回改めて発表をさせてください。

古田:衛星データ活用サービスについては、衛星データを含む様々なデータを活用して社会課題解決に繋げていくサービスを考えています。

現在、世界中の企業が2030年、2045年、2050年のCO2削減目標の達成に取り組んでいます。我々はこの活動に貢献するために、衛星データを活用したサービスを提供していきたいと考えています。

特に注目しているのは、単にCO2の削減にとどまらず、CO2を排出する化石燃料の代わりに、海藻などの海洋資源を活用した燃料の開発までを行うことです。

陸上の森林(グリーンカーボン)がCO2を吸収するように、海上の海藻(ブルーカーボン)もまた、CO2を吸収します。そしてこのCO2を吸収した海藻を燃料に変えるというエコサイクルの構築を、衛星データを活用しながら実現していきたいと考えています。

-ブルーカーボンを利用したCO2削減のエコサイクルを回すために、京セラのどのような技術を活かす予定なのでしょうか

古田:もちろん我々がすでに持っている技術で補えるものであれば、積極的に活用したいのですが、必ずしも既存の技術だけで完結させる必要はないと考えています。

将来を見据え、未来を描くことから始めているので、必要になりそうな技術についてもこれから議論をしていくつもりです。もしそれが京セラとして必要だと判断したら、自社で研究開発に取り組んでいきますが、外部の方の力を借りることも視野に入れているので、必要に応じて様々な方々と一緒にプロジェクトを推進していきたいですね。

今年注力したいビジネス

-新しく始まったビジネスやこれから注力していきたいビジネスを教えてください

古田:私が注力していきたいものとしては、やはり衛星データビジネスです。
ただ、現在既にビジネスになっているものに参入するというよりは、将来的に衛星インフラが整った後に高付加価値に繋がる可能性を考慮したうえで社会課題の解決に繋がるテーマを選択していきたいと考えています。
未来志向で考えることが京セラの企業文化でもあるので。

田中:衛星通信の話であっても、衛星データの話であってもまだまだビジネスという視点でみると、まだ時間がかかると思っています。しかし、本格的に事業化を目指してプロジェクトが動いており、私もこれまでとは違った動きが求められています。

-今、田中さんに求められている動きとはどのようなことですか

田中:社内調整です。笑

最近は外に出ることよりも、社内調整をすることが加速している印象があります。
もちろんプロジェクトが本格化(社内を巻き込んでいる)ということでもあるので頑張って進めて行きますし、必要なプロセスですので。

本当に発表したいことはたくさんあるのですが、現時点ではできないことばかりなので、また次回を楽しみにしていてください!

SPACETIDEへ協賛した理由

-今年もSPACETIDEへ協賛いただいた理由を教えてください

田中:SPACETIDEのスポンサーを始めてから5年が経過しました。
SPACETIDEに協賛してから、宇宙業界の皆さまからたくさんの声がかかるようになりました。過去のインタビューを見ましたと言っていただくこともありますし、協業の依頼案件も増えています。

しかし改めて思い返してみると、京セラは広告宣伝のために協賛しているのではないと思っています。
アメリカが先導するこの宇宙という分野で、日本から民間企業を巻き込んで宇宙ビジネスを成長させようとしているSPACETIDEの志や想いに私達は共感しています。

京セラは通信機器の開発や衛星データサービスを全うしていくつもりですが、宇宙という大きなフィールドの中で私達が出来ることはほんの一部でしかありません。

そこで日本だけでなく世界とリンクして、SPACETIDEが提唱しているような宇宙ビジネスの潮流を作っていただけると私達としてもとてもハッピーなので、ぜひ応援し続けたいと思います。 

SPACETIDE2023に参加する方へのメッセージ

-当日SPACETIDEに参加者する方へメッセージをお願いします

古田:京セラとしても我々単独で頑張っても宇宙ビジネスを広げることができるとは思っていません。たくさんの方とディスカッションや協業を通して宇宙ビジネスを盛り上げたいと思っていますのでぜひお声がけいただけたらと思います。

田中:京セラは創業以来の変革の時期を迎えております。その中で会社としても航空宇宙産業への積極的な進出を計画しており、様々なプロジェクトを進めています。

年末か年明け頃には発表を予定しているのでそれまでお待ちください。

私達は、宇宙アセットを使って大きな社会課題の解決に挑戦していくつもりですので、ぜひ皆様と一緒に乗り越えて行ければ嬉しいです。

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